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1001日目の鯨の町

震災からちょうど1001日目に当たる12月5日、宮城県石巻市の牡鹿半島の最南端... - 2013年12月5日

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1001日目の鯨の町

石巻市 - 2013年12月05日

震災からちょうど1001日目に当たる12月5日、宮城県石巻市の牡鹿半島の最南端、鮎川地区を訪ねました。ここは古くから漁業で栄えた港町で、築地でも高級品で知られるアナゴ、金華サバや銀ザケ、養殖では牡蠣やワカメ、ホタテなどが名産として知られています。
しかしながら、この土地を代表する産業といえばやはり捕鯨が挙げられます。金華山沖は古くからマッコウクジラが多く住む海域で、1900年代初頭に捕鯨基地が整備されて以来、鮎川は国内有数の捕鯨産業の町であり続け、新鮮な鯨肉だけでなく加工食品や工芸品などの産業も発展していた鮎川地区は「鯨の町」とも呼ばれていました。鮎川港に隣接する「おしかホエールランド」は実際の捕鯨船を利用した博物館で、鮎川港の捕鯨文化の解説コーナーやクジラの骨格標本などを展示しており、この町の鯨と人の関わりの歴史を伝える鮎川港のシンボルとも言える大人気のスポットです。

そしてもうひとつ、この地域で忘れてはならないのが金華山(きんかさん)という島の存在です。牡鹿半島の東側に浮かぶこの離島は牡鹿地区で最も大きく(約10 キロ平方メートル)、山の中腹には金華山黄金山神社(こがねやまじんじゃ)が建っています。島全体が神社の霊域で、山形の出羽三山や青森の恐山と並んで東北三大霊場に数えられており、全国から参拝者が訪れます。島内には野生の鹿や猿が多く生息しており、牡鹿半島の南西側にある網地島(あじしま)、田代島と並んで風光明媚かつのどかな景勝地としても知られています。最近ではトレッキングに訪れる人も増えているそうです。また、元日には水平線から昇る初日の出を観るクルージングツアーも開催されるなど、宮城県を代表する一大パワースポットです。

しかし、震災によってこの地域も甚大な被害を受けました。石巻市街と鮎川港をつなぐ国道のコバルトラインが不通となり、約一週間にわたって外部からの支援の手がほとんど入らなかったといいます。地区内の建物の約7割が全半壊し、港湾部のほとんどの建物や道路が被災しました。「おしかホエールランド」も津波で建物の2階まで浸水し、1階展示室の標本は流出し瓦礫が堆積したために今年7月に解体され、現在は捕鯨船のみが元の場所に残されています。そしてとりわけ被害の大きかった鮎川浜周辺は約120センチメートルの地盤沈下が起こり、現在も護岸工事や土地のかさ上げ工事が急ピッチで行なわれています。また、住宅地の高台集団移転も正式に決まり、ようやく復興に向けて動き出したばかりです。
今回、お話を伺った石巻観光協会副会長の齋藤富嗣さんによると、震災前の鮎川地区は年間で約10万人の観光客を集める場所でした。現在は以前の10分の1程度にとどまっているそうですが、今年の3〜10月に金華山黄金山神社で執り行われた12年に一度の巳年御縁年大祭をきっかけに、参拝客や観光客が戻りつつある手応えを感じているというお話でした。また、今年の正月三が日には約1500人の初詣客が訪れたということから、来月の初詣はそれ以上の参拝客がみえるのではないかと期待しているそうです。今年の5月には鮎川浜から金華山へ渡るための定期観光船も復活し、現在は4社が運行中です。定期運行は日曜・祝日のみですが、平日でも乗船人数によって出航は可能ということですので、年末年始の参拝を計画中の方は石巻観光協会のウェブサイトを参照ください。

最後にひとつお知らせです。先頃、弊団体のウェブサイトにてご紹介した金華サバの缶詰ですが、取材当日に「おしかのれん街」の某店舗にて店頭で大量に置いてあるのを見かけました。近くに立ち寄った方は、ぜひ探してみてください。

石巻観光協会
牡鹿鮎川浜仮設商店会 おしかのれん街
金華山黄金山神社

おいでよ!宮城の海へ! ※網地白浜海水浴場の海開きの様子が視聴できます
海を渡れば猫王国2013 ※仙台市内で開催された田代島に住む猫の写真展の様子が視聴できます

木村 敏之|情報レンジャー@宮城