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筆甫郷土料理・自慢料理試食会

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筆甫郷土料理・自慢料理試食会

丸森町 - 2015年02月01日

宮城県丸森町で行なわれている郷土料理の試食会イベントを取材しました。
宮城県で最南端の丸森町のなかでも更に最南端部に位置する筆甫(ひっぽ)地区は、自主避難区域の福島県伊達市や相馬市に面しており、かつ居住制限区域の飯舘村にも近接しています。住民の生活は、先の震災から始まった原発事故による環境汚染や農畜産物への風評被害などで一変しました。それまでの山間地や盆地を活かした農畜産業や果樹栽培とその加工品づくりといった生業への影響はもちろん、庭や山林、田畑の除染作業などが必要となり、現在もさまざまな不便を抱えた生活を強いられています。しかし昨年2014年12月、住民の粘り強い活動が実り、原子力損害賠償紛争解決センターが原発事故賠償金支払いの申し立てについての和解案を受け入れることが決定しました。しかし、除染作業の負担や住民の健康調査の実施など、福島県とはさまざまな面で隔たりが残っています。

しかしながら、この季節の筆甫地区には、住民の拠り所となっているというイベントがありました。地元で採れる食材や調理方法で各家庭が作った料理を持ち寄って食べる「筆甫郷土料理・自慢料理試食会」は、今回で13回目。元々は地元住人の交流のための行事でしたが、名産のへそ大根の種蒔きや収穫・加工体験イベントなどで筆甫を訪れるようになったファンが、仙台市などからも参加しています。前日の30センチメートル近い積雪にも関わらず、会場の筆甫まちづくりセンターは約80人の参加者で賑わいました。主催者の「筆甫の食文化を堪能する会」代表の庄司さんは、以前は筆甫地区への都市部からのUターン・Iターンの受け入れのための活動を中心に行なっていましたが、原発事故後は希望者が途絶え、現在はまちづくりのためのイベント運営や住民の生活支援などの活動も行っています。この場では、住民が慣れ親しんだ味の郷土料理や酒を持ち寄り、語りながら味わいます。そして若い年代が作る新たな料理や菓子などを出品することで、伝統の継承のみならず、世代を超えた交流の場としても機能しているというお話でした。

丸森町筆甫地区

3年目の丸森町筆甫(ひっぽ)地区(2013年3月11日取材)

木村 敏之|情報レンジャー@宮城