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3年目の丸森町筆甫(ひっぽ)地区

震災からちょうど3年目の2014年3月11日、宮城県の丸森町(まるもりまち)を... - 2014年3月11日

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    加藤 隆介 (~2014.4まで)

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3年目の丸森町筆甫(ひっぽ)地区

丸森町 - 2014年03月11日

震災からちょうど3年目の2014年3月11日、宮城県の丸森町(まるもりまち)を訪ねました。茨城県から宮城県にかけて伸びる阿武隈山地の北限に位置する同町は、北部は阿武隈川に沿って平野が多く、南部は山に囲まれた盆地となっています。特に南部は集落ごとに果樹栽培や自然薯など、さまざまな野菜の栽培やその加工食品が名産となっています。人口は15000人(2014年3月1日現在)。古くは養蚕や阿武隈川の舟運などで栄えた土地でもあります。現在でも、藩政時代の古戦場跡や神社、地元の豪商の屋敷跡などは人気の観光スポットです。
また、この町では県外から丸森町への定住希望者への支援や市民農園(レクリエーションとしての農業体験ができる施設)の斡旋を町ぐるみで行うなど、山間部での生活を魅力と捉えたさまざまな施策を続けています。まちづくりや名産品の開発などの活動なども盛んで、地元の方は里山での暮らしを楽しみながら生活していたといいます。
しかしながら、先の震災でこの土地も甚大な被害を受けました。原発事故の直後から現在まで、住人の生活に影を落としています。福島市と仙台市からほぼ同じ距離にあるため、宮城県の中では買い物や就業など各方面で福島県との結びつきが強い土地であることに加え、農産物の加工販売が産業の中心の集落は、環境汚染や風評被害との戦いを強いられることになりました。

今回、丸森町の集落のなかでも最南端の筆甫地区で、まちづくりセンターなどの運営を行っている筆甫地区振興連絡協議会事務局長の吉澤武志さんに、震災直後から3年目までの日々の暮らしや感じていることについてお話を伺いました。仙台市出身の吉澤さんは、大学時代に海外でNGOによる農業支援の活動に関わった経験から、将来は自然に囲まれた生活をしたいと考えていたそうです。その後、あちこちの土地を見て回ったのちにここ丸森町に定住。現在はまちづくりセンターの管理や運営、広報誌の発行や農業体験の企画運営など地域のためにさまざまな活動を精力的に行っています。また、センターには線量の測定器を用意しているため、持ち込まれた農畜産物の測定なども受け付けています。

震災後、筆甫地区では県境に近いことに由来するさまざまな被害を受けてきました。多くの報道では賠償請求への対応や風評被害への補償額、自主避難勧告の有無、子ども被災者支援法の対象外であることや除染費用の補助の有無といった経済的な捉えられ方が多くなされている印象ですが、実際には食生活や住人同士の人間関係にまで影響を与えています。今回、報道で知ることのできなかったお話をいくつも伺うことができましたが、特に印象深かったのは「自給自足できることは貧しさではなく、豊かさの証だ」というお話でした。季節ごとに裏山で採れる山菜の風味ひとつで季節がわかる暮らしは、間違いなくこの土地の住民の特権だったはずです。それが奪われたこと、回復の見込みがつかない現状を思うと言葉もありませんでした。雑な喩えかもしれませんが、明日からミネラルのサプリメントとカロリーバー、ペットボトルの飲料のみでの食生活を強要されたと想像するならば、いかがでしょうか。今後は沿岸部の被災地と共に、内陸や県南部もより意欲的に取材し、4年目の現状をお伝えしていければと考えています。

丸森町筆甫地区

木村 敏之|情報レンジャー@宮城