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感謝の気持ちをふぐろに詰めて

宮城県南部の沿岸部に位置する亘理町(わたりちょう)。伊達氏ゆかりの城下町で、現... - 2013年10月21日

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宮城県 情報レンジャー
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    木村 敏之

    先々に繋がるきっかけになる情報を提供できればと思います。

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    三浦 淳 (~2014.4まで)

    岩手県出身仙台市在住 肴と魚を求めて海を彷徨う釣り人

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    加藤 隆介 (~2014.4まで)

    宮城県出身仙台市在住 他人の幸せを撮り続けている中年独身ブライダルカメラマン

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    坂本 恵一 (~2013.3まで)

    宮城県矢本町(東松島市)出身 丸刈りの似合う38歳 今までの合計で地球25周は運転した男

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    網野 武明 (~2013.3まで)

    宮城県名取市出身仙台市在住 粉雪をこよなく愛する庭木の剪定が上手なグラフィックデザイナー

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    太田 和美 (~2013.3まで)

    宮城県仙台市出身在住 大きなものをつくりたがる小柄で童顔なクリエイター

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感謝の気持ちをふぐろに詰めて

亘理町 - 2013年10月21日

宮城県南部の沿岸部に位置する亘理町(わたりちょう)。伊達氏ゆかりの城下町で、現在は温暖な気候を活かした果樹栽培などの農業が盛んです。阿武隈川河口に位置することから漁業も盛んで、季節ごとに多種多様な魚介類が味わえる土地です。
WATALISは震災後の2012年4月に設立。その後に現在の一般社団法人となりました。古い着物地などの再利用と、震災後の地元での雇用創出を目的に活動しています。現在では運営スタッフ3人と製品の制作に携わる約40人のスタッフからなります。全員が地元亘理町の住人や出身者です。

代表の引地恵さんは、以前は町の郷土資料館の学芸員を務めていました。亘理に暮らす人たちの暮らしの移り変わりの調査のなかで、かつて地元では着物地の切れ端を捨てずに保管し、それを利用して小さな巾着袋をつくっては折々の返礼やお土産としてお米を入れて贈る風習があったことを知ります。「ふぐろ」とは巾着袋のふくろがなまってそう呼ばれていたものでした。震災後、建物を取り壊すことになった町内の呉服店に調査活動に訪れた際に、大量の着物地を見つけた引地さんは、かつて調査した「ふぐろ」のことを思い出します。決して華やかでもなく、工芸品だったわけでもありませんが、感謝の気持ちを込めた返礼の心遣いとしての地元の文化を再び形にして、受け継いでいきたいという思いから「ふぐろ」の制作を思い立ちました。
活動当初は地元の和裁の先生から講習を受けながらの製作でしたが、次第にスタッフの技量も上がり、現在では制作スタッフ同士で技術講習を開催するなど、内部で一貫した生産体制が整っています。主力商品は「ふぐろ」ですが、染みや穴の空いた布なども大切に使うという地域の文化の本質を忘れず、小さな布を利用した新製品の企画開発を重ね、現在では携帯ストラップやヘアゴム、マグネットなどさまざまな製品も販売しています。美しい和柄の「ふぐろ」は、外国人への贈答品としても人気があるというお話でした。

また、販売当初は震災復興のイベントやバザーなどでの販売が中心でしたが、その品質の高さが評価を受けて、現在では首都圏のデパートや催事などで単独のブースを出すことも多くなりました。宮城県内でもJR仙台駅3階の絆ショップや東北ろっけんパークなどに常設のスペースを開設するなど、震災復興から雇用創出、地元文化の継承へと着実に歩みを進めています。製品はウェブサイトでの通販も可能ですが、11月には仙台三越や東京のマルイでの催事も予定しているということですので、お近くの方はぜひ手に取ってその品質と奥ゆかしい返礼の心に触れていただければと思います。

一般社団法人WATALIS

木村 敏之|情報レンジャー@宮城