福島市松川町の国道4号線沿線の松川工業団地内に、約220世帯が入る飯舘村の仮設住宅がある。ここでの食を支える「琥珀ラーメン」さん、生活用品などの販売を通して生活を支える「なごみ」さんに話を伺った。
はじめに、琥珀ラーメンさんは、飯舘村で34年間中華料理店として愛されてきた「中華琥珀(こはく)」だ。本格中華料理店として豊富なメニューを取り揃えていたが、現在は麺類を中心に約三分の一に絞り込んでいる。店主の赤石澤榮さんは、震災後避難生活を送りながら飯舘村の安全を巡回して守る見廻り隊として活動していた。
その傍ら店舗に適した物件を福島市で探していたが、そんな折りに自治体の支援もあり再びお店を復活させることができた。昼時の店内は、評判を聞きつけて看板メニューの「琥珀ラーメン」他本格中華の味を求め、多くの飯舘村の村民の方やNPO関係者、県内外や東京からのお客さんも来ており、売れ行きも好調だ。
続いて、「琥珀ラーメン」さんに隣接する食品や生活用品、手作り雑貨などを販売する「なごみ」さんに伺った。ここは飯舘村の仮設住宅にお住まいの方がすぐに立ち寄れるコンビニエンスストアの役割を果たして仮設住宅の生活を支えている。店長の熊谷清さんは飯舘村は高齢者が多い。昔の人は先祖から受け継いだ農地を開拓し手塩にかけて田畑を育て自給自足してきた人々。当然その愛着のある自宅や畑に戻りたい。「今帰れないのはわかっているが、せめて帰れる状況だけは行政で整え、我々が帰るか否かの選択をさせてほしい」と今の想いを切実にうったえる。
飯舘村の復興は、除染が進まぬ限りまだ先がみえない。この商店を経営する経営者もまた避難者。ふるさと飯館村に帰りたい想いは共通する。飯館から仮設住宅に住む人、借り上げ住宅で家族バラバラになっている人の為にも、愛着のある土地に早く帰れるような体制を整えてほしい。