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かんぽの宿 松島

宮城県東松島市の野蒜(のびる)地区に建つ「かんぽの宿 松島」を訪ねました。 ... - 2014年11月2日

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かんぽの宿 松島 (360°パノラマ)

東松島市 - 2014年11月02日

宮城県東松島市の野蒜(のびる)地区に建つ「かんぽの宿 松島」を訪ねました。
日本三景のひとつとして知られる松島。その北東部に隣接する東松島市の東部ならびに南部のエリアは、太平洋と松島湾に面していることから、先の震災では市内各地が甚大な被害を受けました。特に県内でも有数の海水浴場だった野蒜海岸とその周辺部は、太平洋側からの津波と松島湾を回った津波の2方向から浸水し、住宅地や農地、建物や港湾などが広範囲にわたって被災しました。ここ野蒜地区でも、海岸線に沿って群生していた松林はほぼ消失し、周囲の住宅地には倒壊を免れた施設や民家が数件残っているだけです。
野蒜海岸から内陸にわずか500メートルほどの距離にあったこの施設も、4階建ての建物の2階まで津波で浸水しました。現在(平成26年11月5日)も営業停止のままになっています。松島では近年まで自前の天然温泉を持つ入浴施設がほとんどなかったため、震災前には温泉のある宿泊施設として観光客や日帰り温泉の利用者、学校や企業の合宿などで賑わっていた施設ですが、現在はこの周辺まで分け入って写真を撮る人影もなく、鳥の声と海岸の波の音が聞こえるだけでした。画像からもほぼ手つかずのまま放置されている様子が判ります。

東松島市では、この施設を修繕した上でふたたび宿泊施設として運営する計画です。予定では市が所有者の日本郵便から一度買い取ったあとに民間の事業者に売却して運営を続けることを目指しています。一時は野蒜地区の震災遺構として残す案や、海水浴客などの緊急時の避難場所として活用したい方向の報道も見受けましたが、現時点ではあくまでも宿泊施設として再開したい模様です。このエリアは松島の特別名勝の指定地域に含まれるために高層建造物などの制限があるため、現存するこの施設は避難ビルとしての利用価値もあると思われます。幸いなことに野蒜海岸には大部分の砂浜が残っており、この日も浜辺ではサーフィンや砂遊びを楽しむ集団の姿を見ることができました。近い将来、観光客やレジャー客などの客足が戻った頃のためにも、よい活用法が見つかることを願います。

木村 敏之|情報レンジャー@宮城

http://gigapan.org/gigapans/165277