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the observer記者の仮設訪問

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the observer記者の仮設訪問

富岡町 - 2013年01月24日

「こんな仮設は初めてだ」と感激していたのは、the observer記者アビゲイル・ハワースさんと、英国人写真家レヒシュタイナー・エリックさん。前日に福島県入りした2人は、富岡町の人が避難生活する郡山市の緑ヶ丘仮設住宅を訪れた。

ここの住民は近くの緑ヶ丘団地との交流が盛んだ。仮設自治会長の北崎一六さんによると、幼稚園や学校とも触れ合いがあるそうだ。高齢者が多いというこの仮設は建設が決まっていた緑ヶ丘二小の予定地だったために土地は市の管轄。集会所前の公衆電話はすぐに設けられたが、郵便ポストは市の土地という理由から許認可が複雑。自動販売機の設置には半年ほどかかったそうだ。

住宅内を巡回する北崎さんを見て2人は「自治会長が全体を把握しているから、仮設がまとまっている」と感想を述べた。会長が富岡町の歌を唄った際には、故郷を誇りに思う気持ちが言葉を超えて伝わり、記者は被災地取材で初めて涙を流したと言う。談話室では女性たちの「ちぎり絵教室」が行われていた。

緑ヶ丘地区放射線対策委員長の新妻久雄さんが、地区の環境放射線量マップを見せてくれた。周辺は市内でも線量が比較的低い地域だが、地上1mのほか幼児にも配慮して50cmの地点も測定する。年間1mSv以下を目標とすると0.23μSv/h以上の区域が除染対象となるが、1年前には9カ所あった対象地が24年12月には全て見られなくなった。

こうした経緯もあってか、仮設では3人の赤ちゃんが誕生した。結婚して県外で生活していた妊婦が、仮設にいる母親のもとに里帰りして出産した例もあるという。何かと暗い話が先行する福島だが、海外にも正しく明るい話題が提供出来たのではないだろうか。

レポート:安田 希代美 |情報レンジャー@福島