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双葉町の90歳おばあちゃん

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双葉町の90歳おばあちゃん

双葉町 - 2012年11月08日

翌日が90歳の誕生日だという1人暮らしの鈴木さんを、郡山市にある双葉町の仮設住宅に訪ねた。地震発生から原発事故による避難まで、それは想像を絶する状況だったに違いない。弟が近所で生活していたのが幸いし地震直後は声を掛けてもらったが、その後はただでさえ大変な避難指示命令を高齢女性が1人で決断しなければいけなかった。

津波からの難は逃れたものの、情報不足から原発が爆発したことを知らずに自転車で高台に逃げようとしたという。運良く役場の最終のバスに乗ることは出来たが、どういう状況なっているのかなどは全く分からなかった。その結果、放射線量が高い川俣方面への移動になって、その後は埼玉県や猪苗代町、郡山市などを転々とした。

県外に住む子どもたちが心配して時々会いに来るが、鈴木さんの「子どもに迷惑はかけたくない」という思いから、今も一人で頑張っている。隣近所の親切や埼玉県から定期的に訪問してくれる町社会福祉協議会の心遣いに支えられているのが大きいようです。

社協の職員は震災直後も家に戻らず、昼夜を問わずデイサービス利用者の世話を続けた。そのため、双葉郡内の市町村では唯一、高齢者の避難移動中に誰1人として犠牲者を出さなかったという。

緊急時こそ、行動の僅かな違いが大きな差となる。普段から高齢者に接している人たちの信念と高齢女性の勇気に、災害へ備えるヒントを得た気がした。

レポート:安田 希代美 |情報レンジャー@福島