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崩れた循環型養鶏

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崩れた循環型養鶏

郡山市 - 2012年11月08日

「ひとを活かす、ものを活かす」をモットーに障がいを持つ人たちと養鶏や農作業を行っている共働作業所『にんじん舎』。循環型養鶏や無農薬有機栽培にこだわって約10年近く取り組んでいます。今回は郡山市片平町の、しもしらいわ養鶏所と、かたひら農場を取材しました。

循環型システムとは飲食店や魚屋などに、食べ物の残りものを提供してもらって回収。それを乾燥し粉砕、撹拌(かくはん)したものを鶏の飼料として転用します。飼料には酵母菌や乳酸菌などの発酵菌を配合して、鶏にとっても最も贅沢な飼料として与えることができます。また、添加物や薬品などは一切使用せず、人間が食べていた食品残渣(さ)のため、より安全で自然に近い環境で養鶏ができるのです。

にんじん舎で飼っているのは会津地鶏という在来種で、肉厚で脂質のいいのが特徴です。鶏も長く飼育していると卵を産まなくなってしまいますが、そうした廃鶏は食肉処理し、無添加・無着色のソーセージなどに加工されます。さらに、鶏の足元にはもみ殼やワラを発酵させた農業廃棄物を敷き、生鶏糞と混ざることによって栄養豊富な農作物の有機肥料となります。この循環型システムの考えから、コスト削減と品質の向上が行われています。こうした徹底した飼育により安全性や味の評価は高く、卵や鶏肉なども人気のブランドです。

しかし震災後、農作物や養鶏ともこの循環システムが崩れたのです。放射能の影響から、食品残渣の使用が困難になったこと、また、にんじん舎特有の平飼い(屋外広場での放し飼い)も出来なくなりました。畑の刈草も原発事故後は堆肥への活用や餌としての利用ができません。こうした問題はにんじん舎だけではなく、県内の畜産家、一般農家でも同様の状況です。

そのためにんじん舎では、バイオガスプラントという循環システムを考案しています。実現にはまだまだ厳しい道のりですが、新しい再生可能エネルギーの一つとして地域で身近に取り入れて行くきっかけを作って行きたい、と熱く話してくれました。にんじん舎の新たな挑戦はこれからも目が離せません。

社会福祉法人にんじん舎の会

レポート:石塚通|情報レンジャー@福島