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震災をのりこえた絵たち

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震災をのりこえた絵たち

相馬市 - 2012年09月23日

「震災に遭いながらも無事に残った絵を見てもらい、ささやかですが心の復興のお手伝いがしたい」という思いで、福島市の「コラッセ」で作品展(9/22~25)を開いているのは、福島県相馬市の洋画家・阿部健一さんだ。

震災当日は自宅で制作中だった阿部さんはすぐに避難。奇跡的に津波からは助かったものの、着の身着のままで避難所を転々としたという。被災後のふるさとの光景を目の当たりにするのは辛く、表現する言葉が見つからない。作品の大半は流失したが、瓦礫の中から何点かを見つけ修復に取り組んだ。その工程は1年近くかかり、気が遠くなるような作業だった。

「ユリ」を描く画家として知られる阿部さんが絵を描き始めたきっかけは、お父さんが持ち帰った1本のヤマユリだったという。以来、ユリの清楚な不思議な魅力に取りつかれ、その形を借りて「白いユリ」として気持ちを重ね“心象”を描き続けている。言葉で表現できない、言い尽くせないものを絵に託しているという。

個展は家族の強い絆が漂うものとなっている。一家全員が取りつかれたように協力を惜しまない。そんな温かい家に見守られて制作に没頭する阿部さん。かつてのふるさと相馬の地を一日でも早く取り戻したいと願っている。

 

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レポート:小野 清隆 |情報レンジャー@福島