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福島県 情報レンジャー
  • 安田 希代美

    安田 希代美

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ありのみ農家２

福島市 - 2012年09月19日

40年の梨づくりのキャリアをもつ高橋富栄さんは、梨専業農家で福島市の祖父の代から続く「ありのみ畑」（梨畑）で現在梨の収穫、出荷に追われている。

高橋さんは昨年の原発事故での放射能汚染の対策として、冬場に梨畑の除染を行った。粗皮を削り、高圧洗浄機で樹体、枝葉を洗い流し、葉に放射性物質が付着 しないようとの両面散布、剪定で古い枝を切り落としたりとはじめての事態に戸惑いながらも、良いと言われることは全て取り組んできた。近隣の生産者とも互 いに情報交換しながら協力して同じように除染をしたと話す。

「安心・安全なものを食べてもらいたい」と梨の出荷の際も気を配る。必ず出荷 前には検体に出し、発送する梨には安全が証明される検査結果を同梱する。今年はセシウム検出量は去年の4分の1程度になっている。一方放射性物質がゼロで ないと食べないと言う人もいて、離れた顧客もいる。考え方は人それぞれ、それは仕方ない。しかしまずは自分がきちんと情報を伝え、できる限りのことをして 理解していただける方に購入してもらいたい。そんな気持ちでいた昨年の秋、全国各他のお客さんから「応援します」と注文もらい、そのたびに目頭が熱くなっ たという。

「浜通りの原発事故により避難を強いられた方に比べれば、私はまだ幸せなほう。ベストを尽くしていかなきゃね」梨の生産者とし て、この土地に住む一福島市民として、置かれた状況に負けることなく前向きな顔を覗かせる。高橋さんの梨づくりの原動力は、「梨おいしいね、また送って ね」と言ってもらうこと。その声にはお金に変えられないうれしさがあるという。この福島での「ありのみづくり」を通して力強く前を向いて進んでいく高橋さ んをこれからも応援したい。

【ありのみ工房・高橋果樹園】
pear-net@abeam.ocn.ne.jp