復興中の岩手県山田町内で唯一の書店として仮設テント内の店舗というかたちで営業を再開した「大手書店」さんに取材させて頂きました。
復興中の被災地という特殊な環境での意外なニーズは、被災された方々もまた被災していない地域の人々と同様に「生活者」であるという大きな前提を再確認させてくれます。
そういったニーズがある一方で、支援によって子どもたちに無償で本が渡されている分、子ども向けの本が売れずに困っているということもお話ししてくれました。
この話は支援の難しさを表しているように思います。決して本を送ることが悪いことではなく、実際に子どもたちはその支援に喜んでいるはずで、しかしこのように地域で経済を回す妨げにもなってしまう可能性もある。発災以降、日本中の人々が思い知らされた「善意が必ずしも良い結果を呼ぶとは限らない」という問題の一つの形なのでしょう。
それでもなお、支援を試みなければ分からなかったことなのだと思います。まずやってみて、そこから予想外の結果が生じたら、そこにもまたスポットを当ててケアしていく。この話は「関わり続ける」という選択肢を私たちに明示してくれているのではないでしょうか。
レポート:山本 敦|情報レンジャースタッフ